日本人の心を詠んだ「小倉百人一首」を斬新な手法で英訳し、新たな息吹をもたらしたと賞されるアイルランド出身のピーター・マックミランさん。わずか31音の和歌に込められた和の精神を、シンプルな英語で、詩のように表現。洗練された英訳は、日米両国で絶賛された。さらに日本の象徴「富士山」をテーマに、ユーモラスに日本社会を風刺する版画を次々と発表。日本在住27年。日本文化にとりつかれたマックミランさんが語る、現代日本へのメッセージとは?
翻訳家・版画家、ピーター・マックミランさんにとってのエルムンド(世界)は
『○』
この形は、地球でもあり、丸でもあるけれど、「輪」「和」でもあります。
その心は、生まれ育ったアイルランドで「世界」を知り、日本に来て新しい「世界」
そして「輪」「和」の心を知ったといいます。日本で暮らして25年。
生まれ育ったアイルランドと日本が、いにしえの言霊(ことだま)や自然の神々への信仰という文化が、似ていることに気づき、親近感を抱いています。
ピーターさんは、日本のことをもっと知りたいと思うようになった時、
日本の古典に目が向き、小倉百人一首の翻訳を始めました。
英訳に取り組むうち、日本語の豊かさと文化の深さに感銘を受けると共に、
日本の古人(いにしえびと)の詩には、
恋愛や自分の気持ちへの率直な気持ちを綴られていることが多いことに気付きます。
そして、日本人は、情が深く、素直な国民だと知ったといいます。
また、心の病を持つ人が多い今の日本には、こうした古代の詩のように、情を持って自分の気持ちを語ることが大事なのでは、と考えるピーターさんです。
最近、小倉百人一首に続き、伊勢物語を一年かけてを英訳。世界で発売されるそうです。
今後も、「この日本の豊かな文化を、世界に発信していきたい、一方で、日本人自身にも、
もっと理解してもらいたい」と強く望み、貢献しようと今後もまい進する決意を語りました。
ピーターさんの愛する日本へのメッセージに、私たち日本人自身も見逃していた、
私たちの古典の持つ精神性の素晴らしさを教えていただきました。
http://www.nhk.or.jp/elmundo-blog/2013/03/05/